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過敏性腸症候群(IBS)

 過敏性腸症候群について

過敏性腸症候群過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)は、腸に炎症や明らかな異常がないにもかかわらず、慢性的な腹痛や不快感を伴い、下痢や便秘、またはその両方が繰り返し起こる症状です。IBSは直接命に関わる疾患ではありませんが、日常生活や仕事、学校生活、人間関係などの生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼすことがあります。
IBSは非常にありふれた疾患で、若い方や女性の方を中心に成人の10〜20%が何らかの症状を経験していると言われています。IBSは個々の患者さんによって症状や原因が異なるため、適切な診断と個別に合わせた治療を受けることにより、著明な症状の改善が期待されます。
IBSは、患者さんにとって身体的な苦痛だけでなく、心理的、社会的な負担をもたらします。症状が突然現れるため、外出や旅行、仕事などの予定を立てるのが不安になったり、会議中や授業中に症状が出ることを恐れ、人前での活動を避けるようになり、これらによるストレスや不安がさらに症状を悪化させるという悪循環に陥ることがあります。

過敏性腸症候群の原因

IBSの正確な原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が複合的に関与していると考えられています。

1.腸の過敏性

腸が通常よりも敏感になり、少しの刺激で過剰な反応を引き起こします。

2.腸脳相関の異常

腸と脳の間の信号伝達に問題が生じ、腸の動きや感覚が過剰になることがあります。

3.ストレスや心理的要因

精神的なストレス、不安、うつ病がIBSの発症や症状の悪化に関係しています。

4.食事や生活習慣

特定の食品(脂肪分、乳製品、カフェイン、アルコールなど)が症状を誘発することがあります。また、不規則な食事や睡眠不足も影響します。

5.腸内環境の異常

腸内細菌のバランスが乱れることが、IBSの原因の一部と考えられています。

過敏性腸症候群の症状と分類

IBSは以下の下痢型、便秘型、便秘と下痢が交互に現れる混合型の3つの型に分類されます。主な症状として、腹痛や腹部の不快感、下痢、便秘、またはその両方の繰り返しやお腹が張る、ガスがたまるなどが見られます。

過敏性腸症候群の治療法

1.薬物療法

腸の動きを調整する薬(下痢止め、下剤)や腸の痙攣を抑える抗けいれん薬などのほかに、ストレスや腸脳相関を改善することを目的とした抗不安薬や抗うつ薬が有効なことがあります。

2.生活習慣の改善

ストレスマネジメントや規則正しい食事・睡眠と適度な運動

3.心理的アプローチ

認知行動療法(CBT)により症状への対処法を学ぶことやマインドフルネスなどのリラクゼーション法の導入は薬物療法に難反応性のIBSに有効なことが医学的に証明されています。

最後に

IBSの症状は多くの人にとって、苦痛を生み出し、生活の質を著しく低下させる可能性があります。
内科的なアプローチだけで十分に改善せずお悩みの方は、ぜひ当院の心療内科専門医にご相談ください。