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パニック障害(パニック症)

パニック障害とは?

パニック障害とはパニック障害は、「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」という3つの主要な症状を特徴とする精神疾患です。突然、原因がわからない強い不安感に襲われ、めまいや動悸、呼吸困難などが起こる「パニック発作」が主な症状です。発作が起きると「また同じ発作が起きるのではないか」と不安を感じる「予期不安」が生じ、次第に発作が起こりやすい状況や場所を避ける「広場恐怖」へと発展することがあります。パニック障害は、日常生活や社会生活に多大な影響を及ぼすため、早期の診断と適切な治療が重要です。

パニック障害の
セルフチェック

以下のセルフチェック項目は、パニック障害の可能性を示唆するものですが、確定診断には専門医の判断が必要です。

  • 突然、胸痛や動悸が起こる
  • 汗が止まらず、めまいがする
  • 呼吸困難を感じ、胸が締め付けられるような感覚になる
  • 体が震えたり、手足がしびれる
  • 腹部に不快感や吐き気が生じる
  • 「気が狂ってしまうのではないか」「死んでしまうのではないか」という強い恐怖を感じる

パニック発作が
起こりやすい場面

  • 会議中
  • 車を運転している時
    (特に渋滞道路や高速道路、トンネルなど)
  • 外食中
  • 電車に乗っている時
  • 美容院
  • 歯科治療
  • 映画館
  • コンサート

パニック障害の症状

1 .パニック発作

パニック発作は突然発生し、激しい動悸や息苦しさ、胸の痛み、めまい、冷や汗などが伴います。発作時には「死んでしまうかもしれない」「気が狂うのではないか」と感じることも多く、強い恐怖感から救急受診をする方も少なくありません。発作は10分以内にピークを迎え、通常は20〜30分ほどで治まりますが、その後に不安や恐怖が残ることが多いです。

2 .予期不安

パニック発作を経験したことで、「また発作が起きるのではないか」という強い不安を常に感じるようになることを予期不安といいます。予期不安が強くなると、「発作が起こりそうな状況を避けたい」という気持ちが強まり、次第に日常生活や行動範囲が制限されるようになります。

3.広場恐怖

予期不安がさらに進行すると、「助けを求められない場所」や「すぐに逃げられない場所」に対して強い恐怖を感じるようになります。これが広場恐怖と呼ばれる症状であり、外出や公共交通機関の利用が困難になり、最終的に家に閉じこもることが増える場合もあります。広場恐怖が強くなると、1人で外出できなくなり、生活や仕事に大きな支障をきたすことが少なくありません。

パニック障害と
併発しやすい疾患

1 .閉所恐怖症

パニック障害の方は、閉所恐怖症(Claustrophobia)を併発することが多く、狭い空間や閉ざされた場所に強い恐怖を抱きます。例えば、エレベーターや飛行機、トンネル内などに入るとパニック発作が誘発されやすくなります。閉所恐怖症は単独でも発症しますが、約5割の閉所恐怖症の方がパニック障害を併発していると言われています。

2 .うつ病

パニック障害の方は、発作による不安や日常生活への制限から、抑うつ状態に陥りやすく、うつ病を併発することが多いです。持続的な不安感や広場恐怖が生活の質を低下させ、気分が沈むことが影響しています。

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3 .社交不安障害

パニック障害は社交不安障害とも併発しやすいです。特に、人前で話す場面やプレゼンテーション時に強い不安を感じ、パニック発作が重なることがあります。このため、社交不安障害の症状も併発し、日常の社会的な活動にも影響を及ぼすことがあります。

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パニック障害の診断

パニック障害の診断パニック障害の診断には、繰り返すパニック発作と、それによる予期不安が存在し、他のからだの疾患が原因でないことを確認することが必要です。
呼吸器、心臓、甲状腺などからだの疾患ではないか確認するために、心電図や血液検査が行われることもあります。

パニック障害の治療

1 .薬物療法

薬物療法パニック障害には、抗うつ薬や抗不安薬などが処方されます。抗うつ薬には、脳内のセロトニンのバランスを整え、不安を軽減する効果があり、パニック障害の治療薬として有効とされています。抗不安薬は、即効性があるため、急な発作時の不安を和らげる目的で使用されることが多いです。

2 .精神療法
(認知行動療法)

認知行動療法(CBT)は、パニック障害の治療において重要な役割を果たします。この療法では、「発作が起きても命に危険がない」ことを理解し、パニック発作に対する恐怖心を減少させます。また、避けていた状況に段階的に慣れていくエクスポージャー(暴露療法)も行われます。具体的な手順としては、まずは比較的安全だと感じられる場所(例:電車の駅構内)から始め、次に電車を見る、そして短時間乗車するなど、少しずつ挑戦する範囲を広げていきます。
治療を通して、患者が発作の恐怖を和らげ、通常の生活に戻れるようにサポートします。認知行動療法は、患者自身が発作に対処する力を身に着けるため、薬物療法と並行して行われることが多いです。

パニック障害は突発的な発作や予期不安によって生活が制限されやすい疾患ですが、適切な治療を受けることで改善が期待できます。薬物療法や認知行動療法を通じて症状をコントロールし、生活の質を向上させることが可能です。もし日常生活に支障をきたすような不安や恐怖を感じる場合は、医師の診察を受け、早期に対処することが大切です。