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なぜ若い世代でストレス不調が多いのか

なぜ若い世代でストレス不調が多いのか

近年、10〜20代の若い世代でストレス関連の不調や抑うつ、不安症状が増えている背景には、単なる「打たれ弱さ」や「経験不足」では説明できない、世代特有の環境要因が大きく関係しています。 世代特有の価値観と、デジタル社会の「見えにくい負荷」がどのように心に影響を与えているのか、詳しく解説していきます。

Z世代に特徴的な「価値観の変化」と葛藤

現在の若い世代(いわゆるZ世代)は、多様性を尊重し、ハラスメントや理不尽に敏感で、無理をしてまで組織に合わせることを良しとしない価値観を自然に身につけて育っています。これは健全な社会変化ですが、現実社会との間に摩擦を生みやすい側面もあります。

内面的な認知ストレスの要因

「納得できないことに従うストレス」

「自分らしさを保とうとするがゆえの消耗」

「嫌だと思った瞬間に逃げるべきか、耐えるべきか分からない葛藤」

また、「選択肢が多すぎる社会」も慢性的ストレスを生んでいます。「自分で選べる」「自由に決めていい」と言われ続ける環境は、常に比較と自己評価を迫られる社会でもあります。正解が分からない中で、他人の成功例が常に目に入り、「選んだ結果が悪ければ自己責任」と感じやすいため、失敗への恐れや将来不安が蓄積しやすくなるのです。

デジタル社会特有の「終わらない外的ストレス」

生まれたときからスマートフォンやSNSが身近にある世代は、情報収集において大きな利点がある一方で、脳や自律神経には常時負荷がかかっています。

デジタル環境による主な負荷

SNSでの他者比較(容姿・能力・生活レベル)

「既読」「反応」のプレッシャー

否定的な情報・炎上・攻撃的言説への暴露

仕事や学校からの通知が常に頭を切り替えさせる状態

この状態は、脳にとっては「休む暇のない軽度ストレスが持続している状態」に近く、気づかないうちに疲労や不安を引き起こします。さらに「心を大切にしよう」という教育的理想と、現実の職場で求められる「ある程度の我慢」とのギャップが、「自分は社会に向いていないのではないか」という自己評価の低下につながることもあります。若年層の不調の多くは、本人の性格の問題というより、こうした環境との相互作用による「環境反応」であることが多いのが実情です。

Z世代のストレス不調に対する現実的な対策

若い世代のストレス不調に対して「気合で乗り切る」といった対策は逆効果です。大切なのは、自分を変えすぎず、環境との付き合い方を調整することです。

「限界まで頑張らない」を前提にする

メンタル不調は壊れてから気づくものではありません。朝起きるのがつらい、疲れが抜けにくい、不安やイライラが強くなるといった段階は休むサインです。「まだ大丈夫」と思えているうちに手を打つことが回復を早めます。

 情報との距離を“意識的に”取る

無自覚に浴び続ける情報は心に負荷をかけます。「起床後・就寝前30分は通知を切る」「不安を強めるアカウントはミュートする」といった、自分の集中力と感情を守るスキルを持ちましょう。

「強くなる」よりも「消耗しすぎない」ために

ストレス社会を生き抜くために必要なのは、耐久力よりも「調整力」です。

心の調整力を育てるポイント

「正解探し」をやめていい: 人生に唯一の正解は存在しません。「合わなかったら変えていい」という考え方がメンタルを安定させます。

「調整する力」を育てる: 頑張る日と力を抜く日を分ける、すべてを完璧にやろうとしない。これは「甘え」ではなく自己管理能力です。

早めに専門家を頼る: メンタルヘルスの相談は重症になってから行くものではありません。話を整理したい、客観的な状態を知りたいといった理由での受診はとても自然なものです。

あなたの感じている“しんどさ”は、ちゃんと理由がある

若い世代のストレス不調は、個人の弱さではなく、今の社会構造と感受性の相互作用によって生じるものがほとんどです。

無理に強くならなくていい

自分を責めすぎなくていい

立ち止まって調整していい

そう考えられるだけでも、心は少し軽くなります。当院(渋谷駅前メンタルクリニック)では、診断をつけることよりも「今の状態を一緒に整理すること」を大切にしています。もし「一人では整理しきれない」と感じたときは、専門家を頼るという選択肢があることを、覚えておいてください。