MSPA:発達障害の支援のための心理検査
MSPAとは
MSPA(Multi-dimensional Scale for PDD and ADHD)は、発達障害の特性と支援の必要性を多面的に評価するための尺度であり、発達障害特有の行動や困難さを視覚化することで、支援に役立てることを目的としています。この評価尺度は、発達障害の診断そのものを目的とするものではなく、ご本人の特性や困難な点を特性チャートにまとめることで、具体的な支援の方向性を明確にするための検査です。
発達障害は、同じ診断名であっても個々の特性や生活上の困難さが大きく異なります。MSPAの結果として得られる特性チャートを用いることで、本人の自己理解や周囲の理解を深め、支援の一環として生活環境の調整を行いやすくします。これにより、学校や職場での適応支援や家族間でのコミュニケーションがスムーズになることが期待されます。
検査内容
MSPA検査では、以下の14項目を評価し、特性を視覚化した特性チャートにまとめます。
- コミュニケーション能力
- 集団適応力
- 共感性
- こだわり行動
- 感覚過敏・鈍感
- 反復運動
- 粗大運動能力
- 微細協調運動
- 不注意
- 多動性
- 衝動性
- 睡眠リズム
- 学習習慣
- 言語発達歴
これらの項目は、幼少期からの成育歴や現時点での行動特性をもとに評価され、支援の必要な領域や支援方法を明確にすることが可能です。
MSPAの特徴:
診断ではなく支援のために
MSPAは、発達障害の診断を目的とするものではなく、ご本人の生活上の困難さや支援ニーズを整理し、適切な支援を実現するためのツールです。評価は、生来の特性や変動しにくい部分に焦点を当てているため、どの年齢で受けても基本的には大きな変動はありません。MSPAの結果を活用することで、本人や周囲の支援者、関係機関との連携が容易になり、個別に合わせた支援の計画が立てやすくなります。
検査の流れ
1事前アンケート
検査の前に、ご本人や保護者、関係者に事前アンケートに回答していただきます。このアンケートでは、日常生活での特性や困難さについて質問し、検査当日に持参していただきます。
2面接
検査当日は、本人または幼少期のことをよく知る保護者や関係者に対し、幼少期から現在に至るまでの成育歴を聞き取ります。母子手帳や通知表など、成育歴が分かる資料がある場合は持参いただくと、より詳細な評価が可能です。
3結果報告
検査結果は、特性チャートとして視覚化され、検査終了後にご説明いたします。検査から結果報告までの所要時間は90分から120分ほどとなります。特性チャートをもとに、どの領域に支援が必要か、支援にあたっての具体的なポイントをお伝えいたします。
MSPAは発達特性を視覚化し、支援のニーズに合わせたサポートを可能にする重要なツールです。発達障害の特性が日常生活や学業、職場などでどのように影響するかを理解することで、ご本人や支援者が協力し合い、生活の質を向上させることを目的としています。詳細な評価と共通理解の一助として、MSPAをご検討ください。