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慢性の痛み(慢性疼痛症)および神経障害性疼痛について

 慢性疼痛症について

慢性の痛み(慢性疼痛症)および神経障害性疼痛について慢性疼痛症とは一般的に、痛みが数か月単位で続く場合を指し、原因がはっきりしない場合や、精神的・心理的・社会的なストレスによると考えられることもあります。
慢性疼痛は単なる身体の局所の炎症などの問題ではなく、心理的なストレスや生活習慣が複雑に絡みあっていることがあるため、包括的な医療的介入が必要です。

慢性疼痛症の種類と原因

1.神経性の痛み(神経障害性疼痛)

神経障害性疼痛は、神経系(中枢神経または末梢神経)が損傷したり、異常をきたすことで生じる痛みを指します。鋭い刺すような痛み、焼けるような痛み、しびれを伴う感覚異常など、特有の症状を引き起こし、日常生活に大きな影響を与えることがあります。
神経障害性疼痛を引き起こす要因は多岐にわたり、以下のような疾患や状態が含まれます。
外傷や手術後の神経損傷、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛、脳卒中や脊髄損傷、三叉神経痛、多発性硬化症など。
神経障害性疼痛は、その原因や治療法が複雑であるため、専門的な診断と治療が必要です。放置すると症状が慢性化し、うつ状態などの精神疾患の誘因になることもしばしば見られます。

2.筋骨格系の痛み

筋肉・関節・骨の異常による痛みで、整形外科で扱われることが多く、代表的な原因には慢性腰痛や変形性関節症やストレートネックなどがあります。

3.内臓の痛み

内臓からの信号により痛みが生じることがあります。代表的な疾患に過敏性腸症候群(IBS)があります。

過敏性腸症候群

4.心因性の痛み

心理的なストレスやトラウマが主な原因となる痛みです。身体的な異常が見当たらないという除外診断的なアプローチが必要です。

線維筋痛症

慢性疼痛症の治療法

慢性疼痛症の治療は原因や症状に応じて個別化されます。主な治療法は以下の通りです。

1.薬物療法

NSAIDsや神経障害性疼痛の回路をブロックする抗うつ薬や抗けいれん薬の併用

2.運動やリハビリ、神経ブロックなどによる痛みの軽減

3.心理的アプローチ

薬物療法だけでは改善しない難治性の疼痛症には、心理療法が有効なことが認められています。認知行動療法(CBT)により、痛みの捉え方を修正し、不安やストレスとの上手な付き合い方を習得したり、マインドフルネスなどの導入により心身のリラクゼーションを図ることにより、痛みの軽減が図られます。

4.生活習慣の改善

睡眠、栄養バランス、適度な運動など

最後に

慢性疼痛症は、放置することで痛みが悪化し、抑うつ状態を招き、それがさらに痛みの増悪を引き起こす、というネガティブなループを形成し、生活の質(QOL)を大幅に低下させる可能性があります。適切な診断と治療(医療的介入)を受けることで、症状の改善やコントロールが可能です。長期間続く痛みでお悩みの方は、ぜひ当院の心療内科専門医にご相談ください。一人ひとりの状態に合わせた適切な治療をご提案いたします。